昔の日本語の数の数え方2

もも、ふたほ、みほ、昔の日本の数の数え方 その2(日本語の語源)

昔の日本語の数の数え方2

今日のお題は前回に続いて「昔の日本の数の数え方 その2」。人数の数え方、日数の数え方、「ついたち、つごもり、みそか」の語源も含めて紹介します。

以下の続きです。

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日本の数の数え方1

昔の日本の数の数え方 その2

 

弥生時代の男性
へっぽこ隊長

今日は、「ひい、ふう、みい」の百の位、千の位。

その前に復習だが、九十九は何という?

弥生時代の女性
さくや
えと、「ここのそじ あまり ここのつ」ね。

昔の百の単位の数え方

へっぽこ隊長
そう。では百の位の言い方。
100=もも
200=ふたほ
300=みほ
400=よほ
500=いほ
600=むほ
700=ななほ
800=やほ
900=ここのほ
弥生時代の女性
さくや
二百以上は「ほ」になるのね。
弥生時代の男性
へっぽこ隊長
今は八百屋は「やおや」って言うけど、五百木という名字は「いおき」とも「いほき」とも言うね。発音は「ほ」と「お」曖昧だったのかも。

昔の千の単位の数え方

へっぽこ隊長
では、次に千の位の数え方。
1000=ち
2000=ふたち
3000=みち
4000=よち
5000=いち
6000=むち
7000=ななち
8000=やち
9000=ここのち
弥生時代の女性
さくや
千の位はみんな「ち」で統一されてる。
「もも」みたいな独自の言い方は無いのね。
弥生時代の男性
へっぽこ隊長
千の位なんて、かなり後になってできた単位だと思うんだ。
百をあらわす「もも」の時点で「いっぱい」という意味合いがすでにあった。
例えば「百草(ももくさ)」で多種多様のいろんな草を意味していた。
さくや
今は「千草(ちぐさ)」って言うよね。
へっぽこ隊長
最初のころは「もも」でいっぱい。
またその次に「ち」でいっぱい。
最後に「よろづ」でいっぱい。
と、時代によって増えてくる。

昔の万の単位の数え方

弥生時代の男性
へっぽこ隊長
ちなみに「よろづ」の場合も「ち」と同じ。
10000=よろづ
20000=ふたよろづ
30000=みよろづ
40000=よよろづ
50000=いよろづ
60000=むよろづ
70000=ななよろづ
80000=やよろづ
90000=ここのよろづ
弥生時代の女性
さくや
九千九百九十九万九千九百九十九は?
笑顔の男性
へっぽこ隊長
ここのちここのほここのそぢあまりここのよろず
ここのちここのほここのそぢあまりここのつ
さくや
こんな数え方、とても実用的とは思えないわね。
弥生時代の男性
へっぽこ隊長
八千矛(やちほこ)とか八百万(やおよろず)神とか、象徴的な数にしかまず使われない。

昔の人数の数え方

弥生時代の女性
さくや
人数の数え方は?
へっぽこ隊長
1人=ひとり
2人=ふたり
3人=みたり
4人=よたり
5人=いつたり
6人=むたり
7人=ななたり
8人=やたり
9人=ここのたり
10人=とたり
20人=はたたり
30人=みそたり
さくや
今は、ひとり、ふたり、三人、四人と変則的な使われ方をするね。日数は?

昔の日数の数え方

弥生時代の男性
へっぽこ隊長
1日=ひとひ
2日=ふつか
3日=みか(みっか)
4日=よか(よっか)
5日=いつか
6日=むゆか
7日=なぬか
8日=やうか
9日=ここぬか
10日=とをか
20日=はつか
30日=みそか
さくや
「ひとひ」以外は今でもほぼ現役。「みそか」は「大みそか」にしか使わないけど⋯。
暦では1日のことを「ついたち」と言うけど、これはなぜ?

「ついたち、つごもり、みそか」の語源

へっぽこ隊長
昔は太陰暦だから、1日は月が見え出す日。
つまり「つきたち(月立)」がなまったんだ。
みそかの日を「つごもり」というのも「月籠もり」がなまった。
ちなみに暦というのは「日(か)読み」がなまった言葉。
弥生時代の女性
さくや
今でも「大みそか」を「大つごもり」って言うわね。月って「尽きる」からきてるのかな?
弥生時代の男性
へっぽこ隊長
お日様が沈んだ後、次にやってくるイメージから「次」説もあるね。
僕はつごもりのたび「ひと尽き」「ふた尽き」と年月を数えているうちに、月そのものを指す言葉になったんだと思う。
今日はこれまで。
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