人が群がって村になる? 村々が組んで国になる? 今回は土地に関する語源の話。
「邦、県」という村境の恐い漢字
「国」という漢字は城壁で囲んで守っているという感じだね。
「国」と書くと王様を守っているみたいだけど、旧字は「國」。戈(ほこ)で何かを守っているんだろうね。
そういえば昔中国に「木」という王様がいて、それを城壁で囲うと「困」になるのを嫌がって、城壁は作らなかったという話があるわね。
「邦」は?
「邦」についてはいろんな説があるみたいだけど、小説家の宮城谷昌光さんは小説「太公望」の中で、村境の木に獣の死体を貼り付けたイメージを想定している。
つまり「俺たちがいるぞ、これ以上近寄るな」というメッセージだね。「県」という漢字は「首」をひっくり返した漢字で、「首を逆さに貼り付けた状態」を意味する。
「俺たちがいるぞ、近寄ると殺すぞ」というもっと強いメッセージだね。「縣」という字になると「首を糸で逆さにつった状態」となる。
「道」という漢字も魔除けのために生首を持って歩く意味だとか。
何の話してたんだっけ。
村のあるじは「むらじ」と「すぐり」
「村(むら)」は「むれ」「むらがる」からきた言葉。村の主は「むらあるじ」と呼ばれ、「連(むらじ)」という言葉になった。
渡来系の帰化人集団では村の主は「すぐり」と呼ばれた。
これは古代朝鮮語で族長という意味だという説が多けど、朝廷側から与えた姓(かばね)だから、僕は単純に技術を持った「選りすぐり」の人という意味の「すぐり」だと思う。
紫(むらさき)と紫陽花(あじさい)
ちなみに「紫陽花」という漢字は、唐の詩人、白居易(はっきょい)が詩の中で名もない花に名付けたものを、漢字の意味が似ているからと、今も当て字に使っているもの。白居易が見た花が何なのかは分からない。
「国」の語源は「組(く)+土(に)」?
これも定説はない。
「くに」の「に」は土を表す「に」からきていると思われるけど、「く」が分からない。
くぎるという意味の「く」、下という意味の「く」、「組む」の「く」とかいろんな説がある。
「埴輪(はにわ)」「埴生(はにふ/はにゅう/はぶ)」「丹生(にふ/にゅう/にぶ)」などの言葉のように、きめが細かい土器の生成に使えるような黄赤色の土を「はに」とか「に」と言った。
奈良の枕詞を「あおによし」というが、「あおに」は緑色の土のことで、建築物などに使う塗料。奈良が産地だった。
丹生一族は神社の鳥居などの赤い塗料となる「丹」や仏像などの金メッキに使われる水銀などの採掘に携わった技術集団だと言われているね。
空海が高野山金剛峯寺を開いた際には丹生都比売神社から神領を譲ってもらったらしい。
四国には空海が杖をついたら水が湧いて出たという伝説が各地に残っているけど、丹生一族が空海のお墨付きをもらって、各地を試掘して回って、いい丹や水銀の産出場所を探し回っていた名残ではないかという説がある。
で、「国」の「く」は何なの?
例えば
「くみに→くんに→くに」という変化だ。
今日はこれまでっ!
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