日本神話とギリシャ神話の共通点

日本神話とギリシャ神話の共通点「決して見てはいけません」(日本語の語源)

日本神話とギリシャ神話の共通点

日本に馬はいなかったのに、何でスサノオは機屋に馬を投げ込めたのか? この疑問に答えるには、スサノオとアマテラスの逸話は、馬がいた別の場所で生まれたからなのかも? という考えてみることも必要です。スサノオとポセイドンの話は何でこんなに似ているの? アマテラスとデメテルの話は何でこんなに似ているの?
日本神話とギリシャ神話、東南アジアやニューギニアの神話などとの共通点が面白い!

日本にはいないのに、何でスサノオは機屋にを投げ込めたのか?

馬

弥生時代の男性
へっぽこ隊長
『古事記』ではスサノオが機屋に皮を剥いだ馬を投げ込む。織女が女陰をついて死ぬ。
弥生時代の女性
さくや
怒ったアマテラスは天岩戸に隠れるのね。それが?
弥生時代の男性
へっぽこ隊長
さくやはスサノオの時代と邪馬台国の時代とどっちが古いと思う?
さくや
なんとなくスサノオの時代の方が古そうだけど⋯
へっぽこ隊長
でも魏志倭人伝にはこう書いてある。「この国に牛馬、虎豹、羊鵲なし」。
笑った女性
さくや
あっ、馬いないんだ。

アマテラスとデメテル(ギリシャ神話)

弥生時代の男性
へっぽこ隊長
話は変わるが、日本神話とギリシャ神話にはこんな話がある。
弟スサノオが乱暴狼藉をはたらく。
怒ったアマテラスは洞穴に閉じこもる
世界は太陽を失ってパニック。
アメノウズメがアマテラスの気を引く。
弟ポセイドンから逃げようと牝馬に姿を変えたデメテルを、ポセイドンが牡馬に変身して欲情を遂げる。
デメテルは怒って洞穴に閉じこもる
穀物の女神が籠もったことで、下界は飢饉に陥る。
運命の女神モイライがデメテルの機嫌を取る。
弥生時代の女性
さくや
ありゃ、似てる!
弥生時代の男性
へっぽこ隊長
さっきのスサノオの話は、古い神話をバックボーンに持つから、日本にいるはずのない馬が出てきたとも考えられる。似たような共通点はまだある。
弥生時代の女性
さくや
ちょっと待って、ギリシャ神話と違って、アマテラスとスサノオはセッ○スはしてないわよね?
へっぽこ隊長

セッ○スはしてないけど、いっぱい子ども作ってる。

アマテラスはスサノオの十拳剣を噛んで吹き出し、ダギリヒメ、イチキシマヒメ、タキツヒメの宗像三女神を生んだ。

スサノオはアマテラスのみづら・玉飾りを噛んで吹き出し、アメノオシホミミ、アメノホヒ、アマツヒコネ、イクツヒコネ、クマノクスビの五男神を生んだ。

スサノオの持ち物から生まれた宗像三女神はスサノオの子、アマテラスの持ち物から生まれた五男神はアマテラスの子となった。

さくや

二人の間に8人の子がいるのね。本当はきっと愛し合ってたんだわ!
アメノオシホミミの子孫が、ニニギ─ホオリ(山幸彦)─ウガヤフキアエズ─神武天皇と続くのね。

二人の愛がなければ、今の日本は無いわ!

弥生時代の男性
へっぽこ隊長
⋯⋯

イザナギとオルペウス(ギリシャ神話)=「オルフェウス型神話」

●イザナギの妻イザナミは火の神を生んで火傷し黄泉国へ。
●イザナギは黄泉の国へ行く。
●妻の姿を見てはいけないと言われたのに、見て失敗。
●オルペウス(オルフェオ)の妻エウリュディケ(エウリディーチェ)は毒蛇に噛まれて黄泉の国へ。
●オルペウスは黄泉の国へ行く。
●妻の姿を見てはいけないと言われたのに、見て失敗。
さくや
「見ちゃダメと、言われるほどに、見たくなる」気持ち分かるわ〜。
弥生時代の男性
へっぽこ隊長
以下もイザナミの黄泉の国の話だが、ギリシャ神話では別の神が出てくる。

イザナミとペルセポネ(ギリシャ神話)

●イザナミは黄泉国の食べ物を口にしていた。
→地上に戻ることができない。
●デメテルの娘ペルセポネは冥府で石榴(ザクロ)を食べてしまった。
→人間界に戻ることができない。
弥生時代の男性
へっぽこ隊長

ペルセポネは石榴の3分の1だけ食べたので、3分の2は人間界に戻っていいことになった。

だが穀物の神である彼女が冥府に戻る3分の1の期間は、人間界に飢饉が起こるようになった。

弥生時代の女性
さくや
日本では、戻れなかったイザナミはイザナギに腹を立てて、
「あんたの国の人を一日千人殺す!」った叫んだのよね。
へっぽこ隊長
イザナギは「お前が千人殺すなら、
俺は、一日に千五百の産屋を建てる!」
と言った。
さくや
何張り合ってんのよ。イザナギが悪いんでしょ?
もっとやさしい言葉は無いの!?
悲しい男性
へっぽこ隊長
ごめん。
次の話も女性には腹立たしい話だ。

コノハナサクヤビメと「バナナ型神話」

ニニギノミコト(瓊瓊杵尊)は美しいコノハナサクヤビメ(木花開耶姫)を娶りたいと父のオホヤマツミ(大山祇)に頼んだ。

オホヤマツミはイハナガヒメ(石長比売)も一緒に差し出した。
ニニギミコトが「ブスはいらない」と送り返した。

オオハヤマツミは「イハナガがいれば長生きできるのに」と残念がった。
これ以後神の御子は寿命が尽きたら死ぬこととなった。

神が人間に対して石とバナナ「どっちがいい?」と聞く。

人間はバナナを選ぶ。

石を選べば長生きできるのにバナナを選んでしまったために、
人間は寿命が尽きたら死ぬこととなった。

さくや

これは教訓というより、神様の意地悪よ!
先に教えてよね!

ちなみにみんな気付いてるでしょうけど、
私の名は木花開耶姫からきてるの。

弥生時代の男性
へっぽこ隊長

「バナナ型神話」とは東南アジアやニューギニアなどに分布する神話。

次の話はインドネシア。

オオゲツヒメとハイヌウェレ

スサノオ(須佐之男命)が高天原を追われ、オオゲツヒメ(大宜都比売)のもとを訪ねたとき、彼女は鼻や口、尻から食べ物を出してもてなした。

スサノオは怒ってオオゲツヒメを殺した。

オオゲツヒメの死体からは、頭から蚕、目から稲、耳から粟、鼻から小豆、陰部から麦、尻から大豆が出てきた。カミムスビはこれらを五穀の種とした。

ハイヌウェレとう少女は、ウンチをすると宝物が出た。

宝物を村人に配ったら、村人は怒って彼女を生き埋めにして殺した。

ハイヌウェレの父親が彼女の死体を切り刻んであちこちに埋めると、様々な種類の芋が生え、人々の主食となった。

さくや
まあ! どっちも善意からしたことなのに可哀想だわ!
彼女らを殺した人たちに死を!
へっぽこ隊長

これまでに日本で出土した人型土偶の

●95%が意図的に壊されている
●女性を象ったものが多い

という理由は、オオゲツヒメにならって、人形をバラバラにして埋めて、五穀豊穣を祈ったからだという説もある。

弥生時代の女性
さくや
単に死者との決別のために、生前使ってたものを割っただけという説もあるわね。今でも死んだ人の茶碗を割る風習は残っているわ。
弥生時代の男性
へっぽこ隊長
ちなみにオオゲツヒメの「ケ」は「食べもの」とか「食べる」という意味。
弥生時代の女性
さくや
今でも朝餉(あさげ)、夕餉(ゆうげ)と言うわね。
東北地方では「け」と言うだけで「食え」という意味になるわ。
弥生時代の男性
へっぽこ隊長

伊勢神宮外宮の豊受(とようけ)大神もトヨケ、豊かな食事という意味だね。

後にこの二柱の神(オオゲツヒメ、トヨウケヒメ)は、稲荷神(宇迦之御魂神/ウカノミタマ)と習合し、同一視されるようになった。このウカもウケ、ケと同根の言葉と見られている。

さくや
稲荷神は「稲成り神」、食べものの神。やはり昔は食べるの大変だったわ。
弥生時代の男性
へっぽこ隊長

ちなみにキツネの古名は「ケツ」。

音が似ていることから「御饌津神(みけつのかみ)」に「三狐神(みけつのかみ)」と当て字し、平安時代になってから狐を稲荷神の使いとする信仰が広まったという説もある。

弥生時代の女性
さくや
またシャレから来てるのね、日本人、本当に言葉遊び好きだわ!
弥生時代の男性
へっぽこ隊長

話を神話に戻すが、その他、「海幸山幸神話」も南洋の島々に類似神話が点在しているらしい。

あと、神武天皇の誕生神話も他の国と似ている。

神武天皇とスキタイ、高句麗の初代の王誕生神話

神武天皇はウガヤフキアエズと海神の孫娘タマヨリビメとの間に生まれた。
スキタイ人の始祖タルギタオスは、天の神パパイオスとドニエプル川の神の娘との間に生まれた。
高句麗を建国した東明王(朱蒙)は天帝と河の神の娘柳花との間に生まれた。
弥生時代の女性
さくや
似てるといえば似てるわね。でもスキタイって今のウクライナあたりにいたんでしょ? 日本と離れすぎてない? ギリシャも離れすぎよ!
弥生時代の男性
へっぽこ隊長
まだ分からないけど、アフリカ以外に住む人類の祖先が5万年前とかにアフリカを出て、メソポタミアとかどこかに多くの人が集まっていた時代に、すで基礎となる神話ができ上がっていて、それが人類の移動とともに形を変えていったのではないかと思っている人は多いと思うよ。
※ この記事では吉田敦彦教授の論等も参考にさせていただきました。
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