今の国家財政の議論は、消費税を何%にするか、国債発行をどれくらいにするか、などに終始しています。しかしバブル以前の日本は消費税も無かったし、国債発行残高も微々たるものでした。それで高度成長できて、みんな豊かになっていました。
ではなんでうまくいかなくなってしまったのでしょうか。いろんなグラフで日本経済の推移を見れば、その原因がよく分かります。簡単にわかりやすく書いたつもりですので、あなたもこれで考えてみてください。
日本の自殺者の推移と失業率の推移
このグラフの対比で分かることは「失業者が増えると自殺者も増える」ということ。コロナ下で「経済活動よりも命が大事」という論も分かるけど「経済活動こそが命の源泉」なのだということも分かって欲しい。
●バブル崩壊❶以降、失業者と自殺者は増大を続け、消費税5%❷にした翌年、自殺者は一気に増加(24,400人→32,900人)。小泉構造改革の「郵政民営化」❸の年にピークを迎えた。自殺者は年間3万4千人を越えたが、小泉構造改革が一段落したあとは横ばい。
●古泉構造改革❸により派遣社員が増え、失業者は減っているが自殺者は横ばいのまま。リーマンショック❹後、また失業者は増えた。
●民主党政権❺になってからも失業者は増大してるが自殺者は減少した。これは民主党が大量の国債増刷により貧困対策を行ったから。また、失業者の増大が東日本大震災❻後、止まったのは、復興需要が高まったから。
あと注目して欲しいのはバブル崩壊直前の好景気の時代でも、2%程度の失業者はいるということ❶。
○こんな給料で働けるか! ボケェ!
○お前なんか時給10円でも雇うの嫌じゃ! ボケェ!
というミスマッチが必ずあるということ。
日本は2%程度で済んでいるが、アメリカだと5%程度になる。
失業率の推移と経済成長率の推移
このグラフの対比で分かることは、経済成長率が鈍化すれば失業率は増えるということ。
ただし、産業の効率化が進めばその産業の人手はいらなくなるから、労働力の再配分に時間がかかるので、完全な相関関係にはならない。
●1989年、竹下内閣の消費税導入により成長率は鈍化❶。
●1991年、バブル崩壊❷。3年かけて収束し、その後持ち直した。
●1997年、消費税5%導入❸でまた成長は鈍化。
●2008年、リーマンショック❹で成長は鈍化し、2年後回復基調を見せたが、東日本大震災❺を期に下落。
●2012年、アベノミクス❻以降、徐々に回復傾向だったが、
●2014年、消費増税8%導入❼により腰折れ。その後は回復基調。
消費税を上げるごとに成長率は鈍化していることに注目して欲しい。
経済成長率の推移と一般会計税収の推移
このグラフの対比で分かることは、消費税を上げても経済成長率は鈍化し、全体の税収は上がらないということ。
●1989年、初めて消費税を初めて導入して2年間は少し税収が増えたが❶、後は減少傾向。経済成長率は一気に下降❶。
●税収が上がらないのは、1989年の消費税導入時に、所得税、相続税、法人税を大幅に下げたから。
一般会計歳入・歳出と国債発行額の推移
その後の5%❷もそう。減った税収を国債発行で補っている。❸の8%になった時は増加はしているけど、「アベノミクス」当初の上昇気味だった効果を打ち消している。
戦後日本の高度成長を支えてきた「所得税、法人税、相続税」という財源の税率を下げて、それを「消費税」に置き換えた政策が、いかに愚策だったかが分かる。
消費税導入以前の税率は
●所得税+住民税の最高税率は75%、相続税は75%、法人税42%
今の税率は
●所得税+住民税の最高税率は55%、相続税は55%、法人税23%
特に法人税が大幅に引き下げられた。
つまり、税率を元に戻す。それだけで景気はかなり回復する。景気が好転しなければ、高額所得者の所得も減るし、企業の所得も減る。
結局みんな損をする、というのがまともな近代経済学の原理原則。今日はこれまでっ!
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